無荒史談101-天皇機関説考-軍部専横時代(下)2008/07/16 19:16

軍部及び極右勢力が考えていることには矛盾が多いのである。その最たるものは2.26事件の黒幕とされて処刑された北一輝の説に心酔したことである。

北一輝の説くところは天皇機関説そのものと言ってよい。彼は天皇の元で独裁政治をすることを考えていたのである。

更に不可解なのは、極右や軍部の中に、自分の考えが昭和天皇のお考えと一致すると独断で思っていた連中がいたのである。2.26事件の主犯格の磯部浅一は、自分の考えと昭和天皇のお考えが異なっていたのに驚き、帝に意見をしているのである。

また、軍部や極右は殆どが天皇機関説を読んでいなかった。いや彼らの知識では読んでも解らなかったであろう。内容が解らずに「反対」していたのである。最たるものは美濃部博士を襲撃した青年である。博士から自分の本を読んだかと問われて、平然と「読んでいない」と答える始末である。

要するに軍部は統帥権を他の3権の上に置きたかっただけである。