無荒史談104-怨霊物語-平群真鳥 ― 2008/07/26 19:47
最も古い歴史上の怨霊である。彼は顕宗天皇(武烈天皇との説もある)の即位前に大伴の金村に攻め滅ぼされている。勿論その軍を差し向けたのは即位前の天皇であった。この戦は女性を巡る争いであったと記紀には記してある。
真鳥はそれまでも専横の行動が多かったとされている。最初に子のシビが殺され、ついで官軍に家を包囲されて滅びたとある。
真鳥は死に臨み皇室を恨んだ。そして天下の塩の産地を挙げて「この地域産の塩を天子が食せば祟りあるべし」と呪った。ところが迂闊にも塩を多く産する敦賀の地を挙げるのを忘れた為、呪いは不十分なものとなり、皇室は敦賀産の塩を使用するようになったという話となっている。
ところが、古代豪族のうち攻め滅ぼされた家系で、このような呪いの話が残っているのは平群真鳥だけである。同じように天皇家に滅ぼされた葛城ツブラ、物部守屋、蘇我蝦夷などにはこのような怨霊的な話はない。蝦夷には自分が作った日本の歴史書を家とともに焼いて無くしたという言い伝えがあるが、これは怨霊とは言い難い。
蝦夷の怨霊はないことはないが、あまり重要な話にはなっていない。
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