無荒史談186-征夷大将軍-足利尊氏2009/03/31 19:06

尊氏は後醍醐天皇より征夷大将軍に任命されることを望んでいたと思われる。しかし、その構想は天皇の構想と真っ向から対立するものであった。結局征夷大将軍の位は北朝からもらうこととなる。しかし、彼が室町将軍の初代であることは公認されている。

政治的に対立し、戦火を交えているが、尊氏は後醍醐天皇を個人的には尊敬していたと思われる。勅勘を受けたときは出家して恭順の意を表そうとしている。崩御の報を聞いてすぐに天竜寺を建立して菩提を弔っている。尊氏は主義主張の違いを超えて後醍醐天皇を尊敬していたと思われる。

南朝の勢力を削ぎ、大勢が決した後は北朝内部の分裂が続き一生戦塵の中に過ごした。戦略上の手段として南朝に降参するということもしている。この行動は北朝内部対立のために「将軍」の権威が軽んじられることの遠因ともなったのではないか。戦乱が収まることを見ないでこの世を去った。