無荒史談187-征夷大将軍-足利義詮2009/04/20 19:21

彼には「無能」という悪評があるが、実際には可成りの人物だと言える。

仮に無能であれば足利政権そのものが成立しなかったであろう。武家方の内部分裂や南朝との関わりを兎に角解決し続けたのである。

戦乱の中に一生を終えたのであるが、その間に足利幕府は立派に基礎付けられ、次の義満の時に安定するのである。しかも義満は11才で将軍となっている。これがスムーズに行くことは義詮の実力がそのことを可能にするだけあったことを意味している。このような戦乱の中では、幼君に取って代わろうとする人間が出るものであるが、そのような事態にならなかったのは彼の力であろう。

彼の最大の欠点は寿命を縮めるほど酒を飲み過ぎたことである。この酒癖は仕事上のミスの原因とされ、彼の当時の評価を下げるものであった。