臓器移植法改正-討論されていない根本問題2009/04/21 19:10

臓器移植法の改正が論議され、今国会の成立を期す動きがある。

ところで臓器移植に関して根本的な問題が討論されていないと思う。これは法制定の時にも問題視されなかったし、今でも問題視する人は少ないと思う。

第1に臓器移植は「人の不幸を当てにする」と言うことである。極言すれば患者に適した人が脳死とならない限り治癒の道はないと言うことである。「私の命を救うために誰かが死んで欲しい」と言うことである。

第2に需要と供給がアンバランスであり、必要とする患者全てに行き渡らないことである。これはこの治療法の宿命と言うべきである。「臓器移植でなければ治らない」と言って済まされる問題ではない。また、脳死とならないように治療する技術を進歩させることも重要な研究ではないか。即ち供給面での減少も考えられるのである。

第3に非常にコストがかかる治療法であると言うことである。人の命は大切ではあるが、だからといってどれだけでもお金をかけてもよいと言うことではない。そのお金を誰が払うべきかの論争は出来ていない。「臓器移植の費用を払うために国民の皆さん負担をお願いします」と言えるのだろうか。

無荒老は考える。臓器移植を必要とする医療を出来るだけ少なくするための研究を大いに推進すべきではなかろうか。臓器移植は究極の医療ではなく、あくまでも緊急避難的な医療と考えねばならない。それが患者にとってもよいことであろう。