危険運転致死傷罪-法定罪刑主義の厚い壁2012/06/17 19:00

亀岡の無免許居眠りによる死傷者多数の事故に対して危険運転致死傷罪の適用が見送られた。遺族の強い要望にも拘わらずである。

これは法定罪刑主義という原則によるものである。つまり法律で決められたことに対する違反についてのみ刑罰が適用されるというものだ。

これは市民の権利を守るために極めて重要な規定である。これがないと為政者の恣意的な処罰が横行することになるのだ。

しかし、この規定があるために法律にない新種の罪悪に対して処罰が出来ないのである。現代刑法上の矛盾とも言うべきであろうか。

後知恵であるが「無免許は運転未熟と見なす」という文言が法律に明記されていれば今回は危険運転致傷罪が適用されたのである。

新たに発生した社会通念から見て処罰すべきものが法律に示されていないために処罰できないと言うことに関して法学者は改めて明確な意見を述べるべきであろう。黙っているのは国民に対する背信ではないか。

これが救いと言えるかどうかはよく知らないが、今回の事故の民事賠償額は保険がかけられていないので、犯罪者は一生かけても払えないくらいのものを負担することになるであろう。犯罪者が「ただ償いの為だけに生きる」という辛い人生を送ることで被害者は納得せざるを得ないのではないか。