無荒史談 282 末法以前-藤原道長の時代2013/11/09 16:45

末法時代には色々と「世も末」という状態が感じられるのだが、その少し前の道長の時代はというと、割合政治が上手く行っていたように思われる。

 大鏡には道長が善政をしたという記述がある。これは贔屓目があると見る必要がある。しかし、他に客観的な証拠があると思う。

 大江山の鬼退治、土蜘蛛退治、一条戻り橋(羅生門と同じ話)の鬼退治など実在の人物が関与する昔話の主人公の源頼光は道長の子分なのである。彼は自分の家来を使って京都の治安維持をしたのだろう。鬼と言い妖怪といい正体は盗賊と思われる。

 地方も可成り潤ったのではないか、次の時代には九州の刀伊の侵攻を簡単に撃破しており、関東で起こった平忠常の乱も頼光の弟頼信の力で平定している。なお、頼信の関東平定は東国武士の頭領の誕生に繋がり、後の鎌倉幕府を始めた頼朝に繋がるのである。

 これらから末法の前の時代は比較的よい時代だったろうと思う。そして京都には平穏な状態だった。