無荒史談53-極東日本史(2)-漢の時代2008/03/01 19:19

中国を始めて統一した秦の時代は短く、それを継いで漢の時代が始まった。漢帝国は当然燕の領地を引き継いだ。その時燕から逃げ出した勢力が「衛氏朝鮮」を作った。この国はそれまでの朝鮮を支配していた「其氏朝鮮」を滅ぼしたのである。この其氏朝鮮は存在は示されているが、その成立は資料がない。神話時代から引き続いている様だ。

漢は衛氏朝鮮と戦ってこれを滅ぼし、朝鮮半島に領地を広げたが、その経営はあまりうまく行かなかった。次第に領土を縮小している。中国の勢力が朝鮮半島に進出するにはこの後も限度があり、完全に領土とすることは出来なかった。ただ朝貢国として支配することが精一杯であった。

この時代にも文物や人の興隆は進んだと見えて、後漢の初めには、倭の一国が光武帝に朝貢している。これは博多湾に面する志賀の嶋から漢の記録にある金印が発見されて裏付けられている。この後の文化的な交流はよくわからない。当時の倭は政治的な統一が成功することはなかった。

漢が滅んだ後、三国の一つ魏は司馬仲達-後の晋王朝の祖先-を遣わしてどさくさ紛れに自立した公孫氏を滅ぼしている。この結果始めて系統的な倭国の記事が中国の歴史書に登場したのである。また、この時には朝鮮半島南部の諸国についても述べられている。