無荒史談106-怨霊物語-桓武天皇周辺2008/08/01 19:06

平安時代の初めから怨霊が頻繁に登場してくる。桓武天皇は、実力があり、親政の実を上げられた方であるが、その周辺には多くの怨霊が存在している。

まずは父光仁天皇の正妻であった井上内親王とその子の他戸皇子である。他戸皇子は初め皇太子として擁立されていた方である。

桓武天皇は母の出自が低い為、皇位を継ぐべき順位は低く-恐らく最低-であった方である。しかし、藤原氏-特に百川-は天皇の素質を認め、その即位に期待するものがあった。行き詰まった奈良朝政治を変革できるのはこの方を置いて他にないと思ったのであろう。ただ他の貴族階級を納得させる為に井上内親王と他戸皇子をとりあえず皇后、皇太子としたと見られる。

この二方はまもなく謀反の罪を着せられ、廃位されている。二方とも不審の死を遂げられている。後釜の皇太子が山部皇子即ち桓武天皇である。

ついで天皇の義弟の早良皇子である。この方も皇太子となったが桓武天皇の反対勢力に担がれて、廃位、自殺となった。

この方方の怨霊に関して朝廷はいろいろと祈祷などの対策をしている。早良皇子については「崇道天皇」という贈り名を奉っているほどである。

桓武天皇は可成り強引な政治をなさった方である。いろいろな事件に際しこれらの方の怨霊を慰めるという行動を取られている。問題を怨霊の所為にしたのか?