「平清盛」-史実はこうだ38-武士の世2012/12/29 16:58

武士の世を名実共にスタートさせたのは頼朝である。彼は父義朝と清盛の失敗の轍を踏まぬようにした。

最たるものは朝廷の官位に決別したことである。

彼が右近衛大将と権大納言に任命され即日辞職したのがその現れではないか。

武士の世を統率するには都の官職など無用というものだ。

今年の大河ドラマが「武士の世」に執着するならば、ラストシーンは頼朝が官職を辞退する場がよかったと思う。

ちなみに頼朝は朝廷の官職に御家人が勝手につくことを禁止した。この禁令を誰よりも守らねばならぬ義経が率先して違反したのだから頼朝が怒るのは当然である。

又、この禁令は頼朝死後にも影響を及ぼす。当時賣官制度があったが、御家人が官位を買わないので後鳥羽上皇が困り、官位のダンピングをしたことが愚管抄に見えている。上皇は定員のない官位はどんどん人数を増やしてもいるのだ。上皇の財政の行き詰まりが承久の乱の一因のように思えてならない。