無荒史談255-日本の神々-東郷神社2010/03/30 18:54

日露戦争の時の連合艦隊司令長官東郷平八郎を祀る。日本海海戦の大勝利を指揮した世界レベルのスター提督である。

 国際法に強い人である。日清戦争の時のコウショウ号事件では国際法許容限界すれすれの手段で相手を撃沈している。内外の議論で批判されつつも結局その行為が国際法適合であることになった。

 繰艦も巧みであった。黄海海戦では敵の魚雷の上を通り抜けるという離れ業をしている。つまり魚雷は発射してしばらくは深い位置を進みやがて浮上して敵艦に当たるのであるが、東郷の浪速はその深いところを進む魚雷の上を通過したのである。

 日露戦争の時、どちらかといえば予備役入り近しと思われていたのが抜擢され、連合艦隊司令長官となった。戦争中はその実力を遺憾なく発揮したのである。

 当然その後の海軍に多大の発言力を持つ。日本海軍の伝統として新規な戦法に興味を持つ反面過去の成果に酔う危険性もあった。これを第二次大戦の時を中心に纏めてみる。

 航空戦力の重視。世界最初の本格的空母を作ったのは日本であり、世界初の空母機動部隊を戦闘につかったのはハワイ空襲の日本海軍であった。

 大艦巨砲主義。常に1対1では最強の軍艦を目指した。しかし、大和、武蔵という大戦艦は殆ど役に立たなかった。(三笠をはじめとする敷島級戦艦はロシアのどの戦艦よりも大きかった)

 艦隊決戦主義。無用のミッドウェイ海戦で主力空母4隻を喪失するという愚を犯した。(日本海海戦で東洋の制海権は完全に日本のものとなった)

 大艦巨砲主義と艦隊決戦主義は東郷元帥が残した負の遺産であった。