ユーロがドルに代わる2008/05/06 19:59

金融市場でユーロの貸し出しがドルの貸し出しを上回った。これはポンドからドルに世界の基準通貨が変わったのに似てきたようだ。

産業革命以来世界を牛耳ってきたポンドは、大英帝国が戦争を繰り返した季に、2つの世界大戦を期にその座をドルに明け渡した。その経過を考えてみよう。

「80日間世界一周」という小説がある。そのストーリーを支えているのはポンドの威力である。当時は世界中何処へ行ってもポンドで用が足りたのである。

大英帝国は海外に植民地を持ち、欧州の政治に関係し、特にフランスとよく争った。それが20世紀にはいると英仏の協力が目立ち、ドイツとの対立が重きをなしている。フランスとの対立では可成り国力を消耗し、米国の独立の要因ともなる事態となった。2度の世界大戦ではアメリカの力を借りて漸くドイツに勝利したのである。

アメリカは2度の世界大戦で戦場にならなかった。そして戦後復興に当たり多くの利益を上げドルはポンドに取って代わったのである。ところが世界最大の国家となったアメリカは、世界中の紛争に首をつっこむ羽目となった。中には受け身のものものもあったが、積極的に介入したのも少なくない。ベトナムではゲリラに苦しみ、国内世論の反発を招く。更に中東では解決の目途すらない泥沼に陥った。これらの事件を通じてドルはどんどん目減りしていく。

この外によく理解できないのが金融資本の動きである。ただ、現在の動向はドルを弱くする方向に動いていると思われる。

ユーロは欧州通貨統合で出来た新しい通貨である。どうやら統合の威力を発揮し始めたようである。世界の資本がドルからユーロへ指向する時代が来つつあると無荒老は思う。日本の政財界も心してドルと付き合って欲しい。